小石川植物園の見どころを豊富な写真で徹底ナビ!【歴史やアクセスも解説】

東京都文京区にある小石川植物園(読み方:こいしかわしょくぶつえん)。

何があるのか、見どころや歴史、アクセスなどたっぷりの写真とともにレポートする。

小石川植物園の歴史

小石川植物園は正式には「東京大学大学院理学系研究科附属植物園」という。その名のとおり、東京大学の関連施設で、植物学の研究・教育を目的とする。

この地にはかつて「生類憐みの令」で有名な江戸幕府5代将軍・徳川綱吉が幼少期を過ごした屋敷があった。綱吉が将軍となった後の1684年、徳川幕府は屋敷の敷地の一部を「小石川御薬園」とした。これが小石川植物園の前身で、薬草や農産物の試作・栽培をおこなっていた。

8代将軍吉宗の時代になると、薬園整備の一環として小石川御薬園はほぼ現在の広さに拡充される。ちなみに本園の敷地面積は161,588㎡。都内の公園でいえば日比谷公園と同程度の広さだ。

時は流れ明治10年、東京大学の設立にともない付属植物園となった。日本最古の近代植物園であり、江戸時代の遺構が保存されていることから、2012年に国の名勝および史跡に指定された。

見どころ① 季節の花々【見頃情報も解説】

都内には「桜の名所」「紅葉の名所」など、単一の植物の名所は無数にあるが、ひとつのスポットで様々な花の名所になっているのはさすが植物園だ。

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晩冬から早春の梅

大規模ではないが、23区とは思えないのどかな景観の中、観梅できる。

例年の見頃期:大多数の品種については2月中旬~2月下旬

小石川植物園の梅の詳細はコチラ

春の桜

区部にありながら、まるで多摩地区の大型公園のような桜の景観が広がる。

例年の見頃期:3月最終週~4月第一週

小石川植物園の桜の詳細はコチラ

初夏のツツジ・フジ

23区のツツジ名所と言えば、同じ文京区の根津神社が有名だが、なかなかどうして、小石川植物園はツツジも見事だった。また、同時期に藤も見られる。

例年の見頃期:4月最終週~5月第一週頃

小石川植物園のツツジと藤の詳細はコチラ

初秋の彼岸花

23区部としては比較的まとまった彼岸花の群落が見られる。

例年の見頃期:9月中旬~下旬頃

小石川植物園の彼岸花の詳細はコチラ

秋の紅葉並木

23区はおろか、東京都内全体でも珍しい「モミジの並木」の景観が見事。一見の価値アリ。また、園内には枝ぶりの立派なイチョウも見られる。

例年の見頃期:11月下旬~12月上旬頃

小石川植物園の秋の詳細はコチラ

見どころ② 広大で自然ゆたかな敷地【一周およそ1.5キロ】

小石川植物園は、多摩地区の中規模クラスの公園と比べても遜色のない広さを持つ。

マップを見ると長方形みたいな形で、長辺は約650m、短辺は約200m、一周およそ1.5キロ。地図をご覧のとおり園路が複雑に張り巡らされているので、ウロウロ散歩すると数字以上に広く感じる。

「公園」ではないので、遊具や運動施設なんてモノは無くて、その広い敷地の殆どが木々や草花で占められている。

また、樹木がかなり高く成長していること、周囲が住宅街で高層ビル等が近くに無いことから、園の中央部を歩いていると、23区であることをしばし忘れさせてくれる。

平坦な草地に木々がまばらに生える殺風景な光景

初見で園の奥まで行くと、高木に囲まれて方向感覚を失い、23区でまさかのプチ迷子になります(笑)。すぐに出られるけど…まぁ、それくらい広い。

見どころ③ 歴史の遺構【牧野富太郎博士関連の遺構は見当たらない】

何も気にせず散策していると気づきにくいが、歴史の遺構は園内のそこかしこで見られる。例えば園内の一角は「薬園保存園」と名付けられ、徳川幕府の小石川御薬園時代に栽培されていた代表的な薬用植物およそ100種が育てられている。

こちらの井戸は、幕府が貧困者の治癒のため整備した「旧養生所の井戸」。いまだに湧水が見られる土地柄だけあって、井戸の水質も良かったそうだ。

園内の最奥部へと進むと、池のほとりに瀟洒な洋館建築物が。明治9年(1876)に建築された「東京大学総合研究博物館 小石川分館」だ。国の重要文化財。

このあたりは日本庭園ゾーンになっていて、植物園然とした小石川植物園の中では異色の景観となっている。

こちらは柴田記念館。東京大学植物学教室の柴田桂太教授が、研究業績から得られた賞金を寄付し、大正8年に完成。植物学関連の展示がされている。

温室の前にも遺構が展示してある。かつては温室がレンガ造りだったことを示している。

さらに、温室の左右に1個ずつ合計ふたつ、明治期に造られた噴水池がある。

戦前はハスを栽培し、中央からは水が上がっていたが、空襲により水の噴出部は破壊されてしまったという。

小石川植物園はNHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデル・牧野富太郎博士ゆかりの地なのだが、研究室は戦争でなくなり、博士に関連した歴史的建造物は残っていない。

ただ、ドラマを記念して下記の取り組みがされている(2023.9時点)。

  • 柴田記念館にてミニ企画展【牧野富太郎と小石川植物園】を開催(2023.11.26まで)
  • 牧野富太郎ゆかりの植物マップの配布

ちなみにまったく別の場所になるが、練馬区の牧野記念庭園は牧野博士の自宅跡地で、書斎が保存展示されている。

見どころ④ 温室

1800年代後半~1900年にかけて完成した歴史を持つ温室。現在の建物は2019年完成のもの。

神代植物公園や新宿御苑、夢の島熱帯植物館などの大型温室と比べると、ちょっと地味な印象ではある。

植物の多くは演出っぽく華美に配置されることなく、鉢植えの状態で展示されている。

そもそもここは人の目を楽しませる施設ではなく、あくまで研究施設。

限られたスペースでなるべく多くの種類の植物を管理する都合上、鉢植えにしているそうだ。

見どころ⑤ 学術施設ならではの光景

本館。東京大学大学院理学系研究科に属する研究室がある。堂々たる佇まい。

ソテツ、ゼンマイなどシダ植物をまとめた「シダ園」。小さな一角といった感じ。

「ニュートンのリンゴ」。ニュートンが万有引力の法則を発見したとされるリンゴの木は、接ぎ木によって各国の科学関係機関に贈られている。この木はそのうちの一つ。

こちらは「メンデルのブドウ」。記憶に微かに残る「メンデルの法則」でお馴染み、メンデル博士が実験に用いたブドウの株を分けて貰ったものだという。ニュートンのリンゴとメンデルのブドウを毎年食べてたらウチの息子も東大に行けちゃいそうです。

分類標本園の光景。「東アジアに分布する種を中心に、生きた植物約500種を、エングラーの分類体系に従い植えました。植物の分類体系が学べます」

…とのことですが、偏差値が90くらいないと「色んな葉っぱがいっぱい並んでいるね!」で終わりそうではある。

門を入って左に進むとラクショウという木があるのだが、地面からニョキニョキと角のような物体を沢山突き出している…。これは気根(きこん)といい、湿地帯に生えるラクショウが、水中でも空気を取り込みやすいよう根っこを変形させたもの。何も知らないとちょっと不気味に見える。

見どころ⑥ なぜか植物園にお稲荷さん

園内には2か所、太郎稲荷、次郎稲荷という稲荷神社が鎮座する。なんで植物園にお稲荷さんが…?

ランチはどうする?【持ち込み飲食OK】

ランチの選択肢は3つ。

  • 弁当持参
  • 園内の売店
  • 周辺の飲食店

弁当持参の場合、公園ではないのでテーブル付きのベンチは数少ないことに注意。

本館の近く、ソメイヨシノ林周辺は芝生広場になっていて、子連れならレジャーシートを広げてお弁当を食べるのに丁度よい。

園内には本格的なレストランやカフェは無いが、売店はある。ソフトクリームや焼きそばなどの軽食から、カレーやうどんなどご飯モノも。メニューは公式HPをどうぞ。

植物園の周辺は閑静な住宅街なので、レストラン利用の場合は茗荷谷駅か白山駅に向かって少し歩く必要はある。とくに子連れ向けのファミレスやファーストフードの類は駅付近まで行かないと無い。

余談だが園内をくまなく歩こうとすると1時間前後かかる上に起伏が多少ある。食後だと少し大変なので、できればランチ前に訪ねるとよいだろう。

地図・アクセス・最寄り駅・駐車場

●住所・地図

〒112-0001 東京都文京区白山3丁目7番1号

●アクセス(最寄り駅)

  • 都営三田線「白山」下車 徒歩10分
  • 丸ノ内線「茗荷谷」下車 徒歩15分
  • 「茗荷谷」で文京区コミュニティバスB-ぐる乗車 「共同印刷」下車 徒歩3分
  • 都営バス(上60)大塚駅~上野公園線乗車「白山2丁目」下車 徒歩3分

一番近い最寄り駅は白山駅だが、桜の季節なら茗荷谷駅利用がオススメ。途中の播磨坂の桜並木が見事だ。

アジサイの季節なら白山駅利用がオススメ。白山神社の紫陽花を押さえておきたいからだ。

●駐車場

専用の駐車場は無い。周辺の駐車場はコチラ。

料金【無料の日・年間パスポートあり】

2023.9時点情報。最新情報は公式HPをご確認ください。

  • 大人 500円
  • 小学生・中学生 150円
  • 年間パスポート 2,500円
年パスは6回以上来れば元が取れますね。ちなみに、梅、桜、ツツジ&藤、あじさい、彼岸花、紅葉…これでもう6回行くことになります。花好きなら買って損はないかと。
5月4日(みどりの日)は無料だ。つつじが見られる季節ですね。
なお、シニア割引・障がい者割引などは無い。

所要時間

園内を大きく1周し、あちこち歩き回ると1時間前後かかる。

注意点

犬などペットは入れない

パット見は公園だが、ここは研究施設だ。ペットの連れ込みや子供の木登りなど、公園っぽい楽しみ方はできない。

靴に注意【とくにデートのカップル】

園内は高低差があり、舗装されていない場所も多い。ヒールのついた靴は避けて、歩き慣れたスニーカーで来よう。

ベビーカーは坂地獄

ベビーカーで来ることはできるが、それなりに体力を要することは覚悟しよう。バス利用でない場合、最寄り駅である茗荷谷・白山駅ともに、植物園まで長い坂道を歩く必要がある(行きは下り坂、帰りは上り坂)。

園内に入ってからも、ベビーカーに乗るような小さなお子様が遊びそうな芝生広場(桜エリア)に行くにはキツイ坂を上ることになる。

園内の南北をつなぐ園路はどこも階段なので、ベビーカーで園内をぐるっと一周することは不可能です。また、園内の奥に行くほど足場は悪くなりますね。

小石川後楽園は別のスポット!

以前、SNSのフォロワーさんもこの罠にやられていたが、同じ文京区に「小石川後楽園」と「小石川植物園」があり、けっこう紛らわしい。名前は似ているが電車で30分前後離れた違う場所なので注意。小石川後楽園も四季折々の花が楽しめるが、こちらは日本庭園だ。



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