皇居東御苑のツツジを訪ねて。開花状況や見頃期も解説【東京・千代田区】

写真左、靖國神社の鳥居。写真右、皇居のツツジ

2019年4月23日(火)、東京都千代田区にある靖国神社と皇居東御苑に行ってきた。

一番のお目当ては皇居東御苑のツツジである。どうでも良いがツツジは漢字で「躑躅」と書く。一体全体、日本人でこれを書ける人は何パーセントいるのだろうか。

皇居東御苑はツツジの穴場だった

無料で見学できる皇居東御苑。実は、規模は小さいながら、まとまってツツジが植えられていることをご存知だろうか。

木造歴史的建造物を囲むツツジ

ただ、本当に小規模で、それだけ見ても間が持たないので、靖国神社から歩くコースにした。

開花状況

2019年4月23日(火)の開花状況としては満開で見頃だった。

例年の見頃期

例年の見頃は4月中旬~下旬だ。

皇居東御苑のつつじの様子をもっと詳しく!

さて、今回散策したスポットは都心のど真ん中に位置するため、どこから散策するかは自由に選べば良いと思うが、今回はJR市ヶ谷駅からスタートした。

【靖国神社】高さ25m・8階建ビル相当の大鳥居の迫力

駅を出ると道路がごちゃごちゃ交差しているが、一番広い通り「靖国通り」を直進。徒歩10分たらずで靖国神社に到着する。

市ヶ谷駅を出て靖国通りを臨む

南門から入る。

靖國神社南門

境内は広大というほどではないが、ゆったりとしている。

境内の新緑

靖國神社は明治2年(1869年)、明治天皇の思し召しにより建てられた「招魂社」を前身とする。靖國神社の御祭神といえば世界大戦の軍人がすぐに連想され、とかく政治家の参拝などがセンセーショナルな話題となりがちだが、坂本龍馬、高杉晋作といった幕末の志士達、さらには従軍看護婦、女学生、学徒など軍人だけではなく民間の方々も祀られている。

拝殿

近代的に見える「遊就館」。開館は明治15年(1882年)で2002年に改修・増築されている。遺品などが展示されている。

遊就館正面

さくらそう展が開かれていた。

さくらそうが簡易的な平屋に展示されている様子

第二鳥居。その大きさに圧倒される。

第二鳥居

その先には、近代日本陸軍の創設者であり靖國神社の創建に関わった、大村益次郎の銅像。

大村益次郎銅像

更にその先には第一鳥居。第二鳥居も大きかったが、それ以上である。第二次世界大戦末期、軍事物資として一度は解体されるも、戦後、個人・団体からの寄付によって昭和49年に再建。高さは25mもあり、何と8階建てのビルの高さに相当する。

第一鳥居を正面から眺めた様子

【北の丸公園】新緑がまぶしい

第一鳥居を通ると、右手に日本武道館の屋根が見えるので、それを目印に北の丸公園を目指す。と言っても、公園は目と鼻の先だ。

靖國神社から見える日本武道館

歩道橋からの眺め。道路は広く、低い建物が見当たらない、大都会である。

歩道橋から見えるビル群

そんな大都会の中に北の丸公園はある。先ほど見えた武道館もこの北の丸公園の中にある。江戸時代は江戸城の一部として、明治時代からは兵営地として利用された。そして、戦後は公園として整備が進められ、昭和44年(1969年)、昭和天皇の還暦を記念して一般公開された。

江戸城の一部であったことから、当然ながらお堀がある。

お堀の様子

また、公園入口に立派な門がある。この田安門は寛永13年(1636年)のもので、最古の江戸城建築物だそうだ。

田安門の前の様子
田安門を通る様子

田安門から公園へ入ると、すぐに日本武道館が目に入る。

日本武道館全景

大都会の真ん中の公園だが、背の高い木々が多い。そのため、メインストリートから小径に入ると都会にいることを少しだけ忘れそうになる。

北の丸公園の新緑
北の丸公園に咲く薄紫色の花

場所柄、警戒中の警察官や護送車が散見される。

北の丸公園のメインストリート上の護送車

日本武道館に面した公園のメインストリートを道なりに進めば、公園をぶった切って走る首都高の上を通ることになる。ここが大きな街中にあることを思い出させる。

眼下に走る首都高

更に進むと、100mも行かないうちに大きな通りにぶつかる。通りの向こう側が皇居東御苑である。

通りを挟んで向こう側に見える皇居東御苑

近くに横断歩道が見当たらないため、歩道橋で通りを渡る。

歩道橋を渡り皇居東御苑へ

深いお堀を渡る。このあたりのお堀は、本丸や天守が近いことから江戸城の中でも最も高く、18mもあるそうだ。

深いお堀が続く眺め

【皇居東御苑】都内のツツジの穴場

北桔橋門(きたはねばしもん)より皇居東御苑に入る。

北桔橋門(きたはねばしもん)

門をくぐるとこのような関所のような場所があるので、そこで札(入園票)を貰ってから奥へと進む。なお、帰りには札を関所で返却してから退園する。人数カウントや不審者対策なのだろう。

入園票を貰うところ

御苑にはいくつか出入り口があり、いずれも入園票を貰って入る必要があるが、費用はかからない。これだけのスポットを無料で見学できるというのは、都内で他にはちょっと思い当たらない。平成30年の年間入園者数が165万人というのも頷ける。

実に巨大な天守台だ。お城と言えば天守閣が思い浮かぶが、天守台というのは文字通りその天守閣が乗っかる「土台」のことである。

天守台全景

では、台の上にあるはずの天守閣はどこに行ったのか、という話であるが、1657年の明暦の大火によって、とうの昔に消失している。

その後、天守は不要という判断が幕府によりなされ、再建されることは無かった。

天下泰平の世にあって、外敵などに権威を示す天守よりも、大火で失われた街の再建が優先された。

横から見た天守台

ちなみに、お城というと天守閣に殿様が住んでいるイメージをしてしまうが、実際に天守閣に住んでいた武将・大名は織田信長だけだった、という話もある。かくして、残された天守台をスロープで上っていく。

天守台をのぼるスロープ

上はこのように小さめの広場になっていてポツンとベンチが置かれている。

天守台頂上の様子

天守「台」止まりなので、眺望が抜群に良い訳ではない。天守閣が残っていたら、そこからの眺めは壮観だったに違いない。

天守台頂上からの眺め

なお、天守台の前には広い芝生が広がるが、ここがかつての本丸の跡だ。

かつて本丸があった大きな芝生広場
芝生広場を横目に進む

御苑内には天守台の他にも巨大な石垣が築かれている。

巨大な石垣の傍に立つ女性
大きな石垣の前を散歩する夫婦

二の丸庭園のツツジへと向かう途中、都道府県の木という小道がある。その名の通り、都道府県の木々が紹介されている。

都道府県の木々

二の丸庭園のツツジ。それにしても、日本人よりも外国の方のほうが多いのでは。

二の丸庭園のツツジ

ツツジはそれほど広範囲に植えられている訳ではない。確かに、郊外・関東のツツジの名所と比べれば規模はずっと小さい。しかし、都心において綺麗なツツジを無料で眺められる稀有なスポットである。

白とピンクのツートンカラーで咲くツツジ
ツツジの咲く小道

二の丸庭園にはツツジのほかにも池や雑木林があり、散策を楽しめる。

二の丸池よりツツジを臨む
二の丸池全景
二の丸の雑木林

園内の西に位置する富士見多聞を見学する。多聞(たもん)とは、長屋造りの防御施設のことである。

富士見多聞入口

富士山は見えないが、時代劇のセットの中に入ったかのような雰囲気だ。

富士見多聞内部は木の床、木の柱
富士見多聞からの眺め

園内にはベンチもあるが、数は多くは無い。

皇居東御苑のベンチ

富士見櫓(やぐら)を見学。高さは約16mほどだが、かつては上から富士山や筑波山、東京湾などを臨むことができたという。

富士見櫓

大手門より皇居外苑を出る。お堀と高層ビル群の組み合わせが独特の景観をつくっており、それがまた外国人観光客に受けるのだろう。

大手門から出たところ
お堀の右には石垣、左側には大きなビル

和田倉噴水公園を通り抜ける。噴水のある整然とした小さな公園だ。

和田倉噴水公園
長方形の池と噴水で人工的な小さな公園

公園を通り抜けて通りを直進すれば東京駅はすぐそこだ。

1羽だけ白鳥が浮かぶお堀
東京駅を目指して歩く
東京駅に到着
茶色いレンガ造りのレトロな風貌の駅舎

比較的長い散歩となった。あまりにも定番すぎて都民はあまり目を向けないコースかもしれない。だが、都内や近郊のスポットを色々巡った後に改めて訪ねると、見所が集中して詰まっているため、魅力的なエリアであることを再認識させられる。

アクセス・所要時間など

●アクセス
靖國神社
中央・総武線「飯田橋駅」、「市ヶ谷」下車 徒歩約10分
東西線・半蔵門線・都営新宿線「九段下」下車 出口1より徒歩約5分
有楽町線・南北線・都営新宿線「市ヶ谷」下車 A4出口より徒歩約10分
東西線・有楽町線・南北線「飯田橋駅」下車 A2出口、A5出口より徒歩約10分

皇居東御苑
大手門
地下鉄各線「大手町」下車 C13a出口より徒歩約5分
地下鉄千代田線「二重橋前」下車 6番出口より徒歩約10分
JR各線「東京」下車 丸の内北口より徒歩約15分

平川門
地下鉄東西線「竹橋」下車 1a出口より徒歩約5分

北桔橋門
地下鉄東西線「竹橋」下車 1a出口より徒歩約5分

●歩行時間
約2時間15分

●費用
無料

●飲食
当然ながらどこに行っても飲食店に困るような場所ではない。お店が多過ぎて、事前に調べて良さそうなお店を探すのも大変。北の丸公園など皇居外苑で弁当を食べるのも良い。皇居東御苑も弁当持ち込みOK(アルコール類はNG)だが、観光客が多く少し落ち着かないかもしれない。

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