東京都府中市にある国史跡・武蔵国府跡(むさしこくふあと)を散歩してきた。
駅徒歩1分とは思えない、贅沢に土地を使った屋外展示だった。
現地の雰囲気を、写真とともにレポートする。
武蔵国府跡はJR府中本町駅「徒歩1分」の国指定史跡【概要】
駅徒歩1分で、こんなスペースの使い方が許されるとは…さすが国指定史跡。
不動産屋さんも開いた口が塞がらない超絶好立地ではあるが、博物館のように展示物が沢山あるわけではない。
いくつか復元物はあるが、見学自体はすぐに終わってしまう。
正直なところ、よほどの歴史マニア、遺構マニアでなければ、遠方からはるばる訪ねるようなスポットではないかも。
ただ、周辺を見て見ると、
歴史的建造物が立ち並ぶ「府中郷土の森」が近く、
電車で一駅先には天然温泉があるし、南武線に乗れば立川駅もすぐ。
周辺スポットに恵まれるので、それらの「ついでに」ちょっと見学、というスタンスでOK。
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武蔵国府跡の様子をもっと詳しく【詳細】
それでは、現地の様子をもっと詳しく見ていこう。
JR府中本町駅から武蔵国府跡までの地図
東京競馬場に直結していることから、個人的にどうしても「ギャンブラー御用達ステーション」のイメージを持ってしまう府中本町駅。
今回の目的は競馬場ではなく武蔵国府跡なので、ふつうに改札から出ます。
駅近スポットなので地図は野暮な気もしますが…。
あれっ?Googleマップで「府中本町駅から武蔵国府跡」で調べると、徒歩10分と出てきた。…こちらは、武蔵国府跡の国衙(こくが)地区。
今回訪問するのは国司舘(こくしのたち)地区。ホラ、駅の間隣でしょ?改札を出て右に行けばすぐに到着する。
現在の東京都、埼玉県、神奈川県川崎市・横浜市の多くを占めた「古代武蔵国」の首都・武蔵国府。その規模は東西2.2km、南北1.8kmで、分かれて存在する国衙地区も国司舘地区も国府の一部だ。
ちなみに、「府中市」の由来は、「国府の中」だそう。
全体的な雰囲気
80m×80mくらいの、だだっ広い広場。
本来ならば金のなる木であるはずの駅前…資本主義を嘲笑うような広大なスペースだ。
「武蔵国府跡・国司館地区」解説板。
案内図はこのとおり。
国司館復元模型
国司館のミニチュアがある。…って、そもそも国司館ってなに?
国司=奈良の都から派遣された地方役人のトップ。なので、国司館とは「地方首長の執務室兼住居」ということになる。
要は、この一帯は「お役人のエライ人が仕事したり住んでた場所の跡」ということですな。
7世紀後半~8世紀前半につくられたと考えられている。
にじみでる朝礼感。奈良時代から現代にいたるまで、エライ人の話は長いのである。
主殿(しゅでん)
東西15.77m、南北11.5mの建物で、国司が在任期間中に暮らした中心的な建物。
奈良時代前半当時は、こんな感じで四方に廂を持つ「四面廂掘立柱建物(しめんびさしほったてばしらたてもの)」という建物だったという。四面廂掘立柱建物て…たぶん、このあと死ぬまで一度も口にすることなさそうな名前です。
いまでは柱のみ復元されている。柱は直径30㎝、高さ2.4m。
脇殿(わきでん)
主殿とともに儀式や宴に使われていたと考えられる建物。
こちらも柱のみ復元され、建物の大きさをイメージしやすいようになっている。地面にも解説があり、理解が深まります。
付属建物
国司の生活道具、儀式や宴で使う備品の保管用の建物と考えられる。
関連建物
竪穴の建物で、ほかの建物の修繕のための作業場だったと考えられている。
大型円形土杭
すり鉢状の穴で、直径5.5m、深さ3mほど。食物や氷などの貯蔵庫だった可能性を指摘されているが、本当の用途は不明。
周りは芝生広場になっていて、小さな子供たちの遊び場になっている。
万葉の庭
一角にて、万葉集ゆかりの草花が栽培されている。
徳川家康府中御殿跡でもある
この場所は、1590年に徳川家康が休憩施設をつくった場所でもあるという。ただ、国司跡のような復元物はない。
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周辺スポット
下記スポットにも合わせて行ってみては。
大國魂神社
武蔵国府跡の遺構展示から歩いてすぐ。
府中郷土の森
府中本町駅から徒歩かバスで。歴史的建築物がいくつか移築された、公園のような自然ゆたかな博物館。都内でも指折りのアジサイ・梅の名所でもある。
武蔵府中熊野神社古墳
南武線を使えば近い。住宅街の中に30m四方の古墳の復元物がデデーンと佇む。視覚的インパクトは大きい。
立川周辺スポット
南武線に乗れば立川駅はすぐ。周辺にはバラエティ豊かなスポットが揃う。
国分寺界隈
国分寺界隈も、遺構が埋め立てられずに整備されたスポットが点在。歴史散歩好きならハシゴしても。
季乃彩
南武線に乗って府中本町駅の隣の南多摩駅まで行けば、歩いてすぐ。綺麗なスーパー銭湯だ。
アクセス・所要時間など
住所
〒183-0027 東京都府中市本町1丁目14−14
アクセス
南武線・武蔵野線「府中本町」下車 徒歩1分
滞在時間
10分
費用
無料