大悲願寺の白萩「伊達政宗がホレた花」の咲く古刹【東京・あきる野市】

2021年9月21日、東京都あきる野市にある大悲願寺(読み方:だいひがんじ)に白萩を見に行ってきた。

その見事さから、この地を訪ねた伊達政宗が「分けてほしい」と頼んだという白萩の花をはじめ、境内の様子を動画やたっぷりの写真とともにレポートする。

大悲願寺は「伊達政宗が惚れた白萩」の咲く古刹【概要】

ビビッドカラーの花畑や、派手にライトアップされた桜並木や紅葉など、色味の強いものが現代人には好まれがちだ。それらはスマホの小さな画面でもよく目を引く。

対して、この白くて頼りなげな白萩はどうだろう。現代ならば「写真映え」しない、という事になるのだろうか。

確かに写真ではそうかもしれないが、現物を見ると、「可憐」という言葉がよく似合う。色白で、線が細くて、ちょっとした風に揺れて…。

原色の花たちを化粧バッチリ現代美人とするならば、白萩はまさに古風な和美人、といった趣きだ。

境内はそこまで広くはない気もするが、

実は裏手の丘が公開緑地になっていて、ほんの少しだけだがハイキング気分を味わえる。

さらに、歩いてすぐの所には横沢入という谷戸が。

大悲願寺も横沢入も、すぐ近くにJR五日市線が走っているとは思えない、長閑な風景に触れられる。

現地の雰囲気はこちらの動画もどうぞ。

開花状況・例年の見頃期

2021年9月21日、訪れた当日の開花状況は場所にもよるが、4~6分咲きだった。見頃ピークには早い印象。

例年の見頃は9月下旬~9月末頃だ。

大悲願寺には公式HPがなく、オフィシャルな開花状況の発信は無い。最新の開花状況はtwitterやYahoo!リアルタイム検索で現地に行かれた方の情報に当たるほかなさそうだ。



大悲願寺の様子をもっと詳しく【詳細】

それでは、現地の様子をもっと詳しく見ていこう。

武蔵増戸駅から歩く

JR五日市線の武蔵増戸(むさしますこ)駅から歩いてみた。

終点の武蔵五日市駅と武蔵増戸駅の中間地点に位置するので、どちらから歩いてもよい。

武蔵増戸駅からのアクセスは簡単だ。何しろ、五日市線の線路沿いの道を歩くだけで到着。迷いようがない。

中央線の車両が、高架ではなく平地を走る姿は新鮮だ。

のどかな谷戸風景の「横沢入」への入口を通り過ぎると…

すぐに大悲願寺に到着。

伊達政宗が惚れた白萩

「萩の寺」の別名どおり、大悲願寺でもっとも有名なのがこちらの白萩。

こちらの白萩は戦国大名・伊達政宗に縁がある。

1623年ごろ、伊達政宗は大悲願寺に「白萩を少し分けて欲しい」という旨の手紙を送っていたのだ。

政宗の末弟・秀雄が大悲願寺のご住職のお弟子さんだった。その縁からこの地を何度か訪れた政宗は、白萩の美しさに惹かれた。

お寺を訪ねたその場で図々しく「萩を少し分けてくれよ」と言わずに、帰郷してから「あのとき見た白萩が忘れられないので、少し分けてくれませんか」とお手紙を出す…さすがは伊達男。

弘法大師像と萩の花。

本堂の周囲にはとくに沢山の白萩が植えられていて、お堂を包み込むように咲き誇っている。

個体によって、咲き具合にけっこう差がある。日の当たり方などが影響しているのだろう。

仏像と白萩。

腰を下ろしてゆっくり萩を鑑賞できる、ありがたいお心遣い。

白萩が咲くエリアはおもに本堂周辺に限られ、「ここだけ?」と思うかもしれない。が、実は後述する公開緑地にもまとまって咲く。

彼岸花

萩に比べて数は多くはないが、彼岸花も咲く。

お寺の前、駐車場横に咲く彼岸花。

お寺の前の通り沿いにポツポツ咲いている。

仁王門の前に咲く彼岸花。その向こうには、五日市線の踏切が見える。そう、ホントに線路沿いの立地なのです。

お寺の境内にはあまり彼岸花は見られなかった。

境内の諸堂

境内はそこまで広くはないが、重厚なお堂が並ぶ。

本堂

書院造風の本堂。東京都有形文化財。元禄8年(1695)の建築だ。

大きくて立派な佇まいは、堂々、端正…そんな言葉がよく合う。

山号額の字の色をよく見ると、秋川の清流を思わせるライトブルー。

映画「五日市物語」のロケ地だそうです。

観音堂

寛政6年(1794)の建立。あきる野市指定有形文化財。

平成16~18年にかけて、大規模な修復工事が行われた。色鮮やかな彫刻はその際に塗り直されたもの。

塗り直しに際しては、数年、数十年と経年変化した時に「味」が出るように研究が重ねられたという。

正面には「地獄と極楽」がよく表現されていて、閻魔大王や鬼などが確認できる。

「無畏閣(むいかく)」と書かれた額。

観音堂の周りの木々はまさに巨木。

長屋門

武蔵増戸駅寄りにある入口。

長さは20mくらいだろうか。立派な長屋門だ。

入口にはコスモスが。「萩の寺」として有名な大悲願寺だが、ご住職のご意向で、萩以外にも四季折々のお花を愛でられるよう工夫されているのだとか。

梵鐘(ぼんしょう)

寛文12年(1672)の鋳造。江戸時代には時報として使われた。

大戦中の供出も免れ、往時の姿を保っている。

仁王門

安政6年(1859)の建築。

大悲願寺お砂踏霊場

高尾山や高幡不動でも見られる「四国八十八ヵ所お遍路のミニチュア版」。

各寺院のお砂が安置された仏像を巡ることで、

四国八十八ヵ所の遍路行と同等のご利益を授かれるというもの。十人十色ならぬ、十仏十色。

この仏像、お寺の裏手の公開緑地にも広く点在していて、しっかりとお参りしようとすると、ほんの少しだけ山道を歩くことになる。(後述)

その他の仏像など

大きなお地蔵様。

「よくみて、よくきいて、よくかんがえるお地蔵さん」。

ぴんころ地蔵尊。人生の晩年、寝込まずにピンピンコロリできますように、という事でしょうか?

「乳牛供養塔」。かつてこの地では酪農が盛んだったという。

公開緑地

諸堂が並ぶ境内の奥には、公開緑地がある。

西は観音堂ちかくの乳牛供養塔あたりから始まり、

東は横沢入ちかくの道路まで。通り抜け可能だ。

白萩も咲く

公開緑地の横沢入側、つまり東の入口付近に白萩がまとまって咲く。

まるでハイキング

高尾山はもちろん、高幡不動に比べてもそこまでハードではないが、階段の上り下りがある。

木々に囲まれ、ハイキング気分になる。

こんな場所にも、たくさんの八十八ヵ所のご本尊さまが。

木々の間から諸堂を見下ろす。

2つの橋「十夜が橋」と「はりまやばし」

緑地には二つの橋がある。

十夜が橋。

ちょっと分かりにくいが、崖に架けられた橋。高いトコが苦手な方にはやや苦行。

はりまやばし。こちらは低いところに架かっている。



周辺スポット

下記スポットにも合わせて行ってみては。

横沢入里山保全地域

大悲願寺からは歩いてすぐ。東京とは思えないのどかな谷戸が広がる。

大悲願寺に白萩が咲くころ、横沢入では谷戸いっぱいに稲穂が揺れる。

横沢入里山保全地域の詳細はコチラ

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武蔵五日市駅周辺スポット

玉林寺の枯山水

大悲願寺の最寄り駅のひとつ、武蔵五日市駅。周辺に社寺が数多く点在している。

駅周辺の散歩・観光スポットをまとめました。

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鹿野大仏

高さ18mもの大仏さまが鎮座する。2018年完成。

武蔵引田から歩くか、武蔵五日市からバスが出ている。

大悲願寺から歩けないこともないが、3、4kmある。現地までは平坦だが、住宅街を歩くので道中はそこまで面白みはない。

鹿野大仏の詳細はコチラ

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アクセス・所要時間・駐車場など

住所
〒190-0141 東京都あきる野市横沢134 大悲願寺

アクセス
JR五日市線「武蔵増戸」または「武蔵五日市」下車 徒歩15~17分ほど

滞在時間
40分
ゆったり白萩を鑑賞し、公開緑地も踏破しての時間。境内の白萩を鑑賞するだけなら、そこまで時間はかからないだろう。

駐車場
お寺の目の前に駐車場あり

費用
無料

飲食
武蔵五日市駅周辺にせよ武蔵増戸駅周辺にせよ、都会によくあるチェーン店はもちろん、飲食店自体少ない。

近場でランチの場合、よく下調べしておくことだ。

地図

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