南沢あじさい山がマジ日本昔話。開花状況・見頃・シャトルバスも解説【東京・あきる野市】

南沢あじさい山のアジサイ

2019年7月5日(金)、東京都あきる野市にある南沢あじさい山にアジサイを見に行ってきた。

見頃期や開花状況とともに、2019年から始まったシャトルバスについてもレポートする。

※2020年はコロナ対策でシャトルバスの運行は無いようです。公式ブログをご確認の上、お出かけください。

開花状況

2019年7月5日(金)、訪れた当日の開花状況は満開で見頃だった。2019年は天候のため見頃期が遅くまで続いているとのこと。

例年の見頃期

南沢あじさい山のアジサイの数は、およそ10,000株であり、例年の見頃は6月中旬~7月初旬頃だ。

シャトルバスについて

本スポットはこれまでは、最寄り駅から1時間弱、延々と坂を上るため体力的に厳しいものがあった。

が、2019年は専用シャトルバスが駅から運行。(6月8日~7月7日まで。有料)これにより、アクセスも格段に良くなった。

乗り場については後述する。

南沢あじさい山で一生分の紫陽花に出会った【概要】

都内に1万株レベルのアジサイ名所はいくつかあるが、ここまで植栽のボリュームを感じるスポットは他に無い。まさに一生分のアジサイを見てきた気分だ。

なお、この星を思わせるほどの無数のアジサイ、誰がいつ植えたと思いますか?後述するが、その背景を知ると「日本昔話か!」と思わず突っ込むこと必至。

背の高い杉林の下に広がるアジサイ

野鳥の歌声と沢の流れをBGMに、背の高い杉林の山道を歩く。その横には、幻想的なまでにびっしりと植えられた紫陽花が満面の笑みを浮かべる。

無数の青と白の点のように見える対岸のアジサイ

正直、都心からは遠く、徒歩圏内に他のスポットがあるわけでは無い。が、そんなことはどうでも良い。1年のうち今だけ、ここだけの絶景。他に何を望もうか。

せわしない日常にちょっと疲れ、「季節の花と自然に癒されたい。他には何もなくていい。」そう思えるなら一度は訪ねたいスポットだ。



絶景、南沢あじさい山の様子を詳しくレポ!

それでは、見頃を迎えたの南沢あじさい山の様子をもっと詳しく見ていこう。

シャトルバスで一気に南沢あじさい山までワープ

都心からは少々遠い。中央線立川駅で五日市線「武蔵五日市」行きに乗り換える。五日市線と言っても、見た目は中央線と変わらないが、

五日市線外観

地方ローカル鉄道よろしく、ボタンを押してドアを開け閉めする。

五日市線の押しボタン

終点の武蔵五日市駅が近づくと、山々が広がり、東京都内とは思えない。

五日市線の車窓からの眺め

駅舎は比較的大きくて綺麗だ。

武蔵五日市駅から山を眺める
武蔵五日市駅外観

駅前はロータリーになっていて、

駅前ロータリー

駅前の観光案内所前に専用シャトルバスが停まる。

観光協会外観

さっそくバスを利用する。

バスに乗り込む人々

バスの車窓からは早くもアジサイが見え、目を楽しませてくれる。

バスの車窓からの眺め

10分足らずで南沢あじさい山の入口前に到着。駅から歩くと1時間くらい坂道を上ることを考えると、速いし楽チン!

青やピンクのアジサイが咲くあじさい山の入口

あじさい咲く山のプチハイキング

バスの停まるあたりには、マップも置かれている入山受付や、

入山受付

南澤さんの邸宅があり、

緑の多い庭に佇む日本家屋

南澤さんの邸宅脇の立派な池では、カラフルなコイたちがエサを欲しそうに群がる。

赤、白、黄色…色とりどりの沢山の鯉

はい、南澤さんって誰?と思った人のために紹介しよう。

南沢あじさい山とは、その名の通り、南澤忠一さんという一個人が、昭和40年代から半世紀にわたってコツコツとアジサイを植え続けてつくった山なのである。もはや日本昔話の世界観である。

2019年現在、南澤さんは御年89歳というから、もはや仙人の域に達していると言っても過言ではない。色々と凄過ぎる。

さっそく、そんなリアル花咲か爺さんの山へと入って行こう。

あじさい山入口に面した道路

勿体ぶることなく入口から全力でアジサイが歓迎してくれる。左手の崖下には沢が流れており、水の涼しげな音が聞こえる。

入口入ってすぐに両側に咲くアジサイ

コース全体を通して、V字に切り立った沢沿いの山道をのぼっていくことになる。メインルートと対岸ルートがあるので、ぐるりと一周して散策することも可能だ。

青だけでなく白いアジサイも沢山咲く

あじさい「山」というだけあって、頂上まで坂道を20分ほど登り続けることになる。

このため、できれば梅雨の合間の曇りの日を狙って訪問すると良いだろう。日差しが穏やかな天気であれば、アジサイを楽しみながらゆっくりと登れば、そこまで汗をかかず快適に散策できる。坂と言っても急勾配というほどではない。

アジサイの道を進んでいると、「ちゅういっちゃんのあじさい畑」の看板とともに分かれ道に出くわす。

二手に分かれたアジサイに囲まれた道

「ちゅういっちゃん」とは他ならぬ南澤忠一さんの愛称なのだが、そのまままっすぐ進めばメインルートで、看板にしたがって右に曲がると、

花咲か爺さんの畑に寄り道できる。

アジサイや野菜が植えられた畑。遠くには山

日本昔ばなしに出てきそうな畑の奥に進むと、

よく手入れされた畑

広場になっており、そこにもアジサイが綺麗に咲く。が、散策コースからは外れるのでメインルートに戻る。

砂利の広場
クルマの停まった広場に咲くアジサイ
広場に咲くピンク、青、紫のアジサイ

メインルートを進むと今度は左に非常に細い分かれ道が。ここで左に行くと、小さな沢の流れをまたいで対岸ルートとなる。

一方通行と書かれた道案内

左には曲がらずに、ひとまずまっすぐメインルートを行くことにした。有難いことにウッドチップが敷き詰められ、歩きやすく整備されている。

ウッドチップの道を歩く人々

日本昔ばなしならば、そそっかしいお爺さんが握り飯を落として、拾ったネズミが御礼にアジサイを咲かせて…という展開になるのだろうが、

沢に沿ってびっしりと咲くあじさい、周りには杉の木が林立

このアジサイ山は、人の手仕事によって見事な景観が維持されているのだ。脱帽するしかない。

薄いブルーのアジサイが両側に咲く

V字に切り立った沢筋をのぼっていく。写真では少し分かりにくいかもしれないが、白と青の小さな点々は、沢の対岸に無数に咲くアジサイだ。よく「一目千本桜」などと言われる桜名所があるが、ここはいわば「一目千本紫陽花」か。いや、千本どころではないだろう。

奥には沢の対岸に咲くアジサイが無数の点のように広がる

また、林立する杉やヒノキも幽玄な雰囲気を醸し出しており、毎年春の花粉症シーズンになると全部伐採してくれと懇願していた己の身勝手さを恥じることになる。

メインルートより沢の上流部を眺める。沢が深く水は見えない

これまた有難いことに、随所にフォトスポットの目印が設置されている。ウッドチップの道も然りだが、アジサイを100%楽しんでもらおうという、花咲かじいさんのエンターテナー魂を感じる。

フォトスペースと書かれた案内板

フォトスポットでは、一段高い場所にのぼって、

フォトスペースへと続く階段

絶景を眺めることができる。もう、アジサイが多過ぎて何が何だか分からない。

沢の上流方面に向かって南沢あじさい山のアジサイ群落を見る
沢の下流方面に向かって南沢あじさい山のアジサイ群落を見る
手間に白い紫陽花、奥には無数の青いアジサイ

20分ほど掛けてアジサイ山の頂上に到着。頂上といっても、本当の山頂ではなく、あくまでアジサイ植栽ゾーンで一番高い所に来たということであって、ハイキングコースはまだ先に続いている。

折り返し地点と書かれた案内板

今回はここで引き返すことにしたが、せっかくなので沢の対岸ルートにも行ってみることにした。ただ、この日は雨の翌日で足場が悪かったからか、対岸ルートは下り厳禁。

そのため、メインルートを途中まで引き返し、沢を渡って対岸ルートを上ることにした。

アジサイ咲く中を流れる小さな沢

対岸ルートはメインルートと違い、ちょっとしたハイキングコースのような趣だ。ぬかるんだ細い階段が続くので、足を取られないよう注意しながら進む。

青いアジサイの咲く小さな土の階段

位置的に、斜面一面に広がるアジサイはあまり見えず、絶景という観点ではメインルートには及ばないものの、

苔むした味わい深い古木に出会えたり、

根元が苔むした杉

道の横の山側を見上げると、高木の湿った空気感が漂っていたりと、メインルートとはまた違ったあじさい山の表情に触れることができる。

無数に立ち並ぶ杉

対岸ルートのフォトスポットからの眺め。メインルートのフォトスポット付近の人を赤丸で囲んでみた。とても小さく見え、V字の沢が深く切り立っていることを実感する。

対岸ルートよりメインルートをのぞむ

対岸ルートも散策するのであれば、対岸ルートの下りが制限されている可能性も考慮し、行きは対岸ルートでのぼって、帰りはメインルートで下りるのが良いだろう。が、無理して対岸ルートを歩かずとも、メインルートだけでも南沢あじさい山の魅力は十分に味わえる。

帰りは武蔵五日市駅まで歩いてみた

さて、おそらく一生分のアジサイを目にし、あじさい山入口へと戻ってきた。

あじさい山入口付近の道路

帰りはバスを使わず、ここから武蔵五日市駅まで歩くことにした。およそ40分かかるが、帰りはほとんど下り坂で、なおかつ舗装された道路。よって、曇りの日なら汗をあまりかかずに歩くことができた。

片側にピンク、青のアジサイが咲く舗装された道路

あじさい山を後にしてからも所々にアジサイが咲いており、

左右に山が見える道路

都心では拝むことのできない透明な川を横目に、

アジサイの咲く道に平行して流れる綺麗な川
透明度の高い川を橋より見下ろす

舗装された山道を歩いていくので、

伐採された木々が積まれた場所を横目に歩く

飽きることなく比較的ラクに駅へと向かうことができる。

切り立った道の左手、がけ下にはバーベキュー場

途中に武蔵五日市駅の標識があった。行きにバスで来た道とは異なるが、

武蔵五日市駅の標識

あとはこの道を道なりにずーっと進んで行けば駅に到着する。

民家がぽつぽつ見える道。遠景には山なみ

道に迷うこともなく、汗をかくこともなく、無事に駅が見えてきた。

武蔵五日市駅へ向かう様子

花咲か爺さんが半世紀かけてつくりあげた南沢あじさい山。コツコツと続ければ、いつか花は開く。…なんだか道徳的なことも教えられたようなアジサイ鑑賞だった。



周辺スポット

以下も合わせて行ってみては。

武蔵五日市駅の周辺観光

駅周辺のスポットに色々と行ったので、まとめました。

武蔵五日市駅の周辺スポットの詳細はコチラ

サマーランドあじさい園

サマーランドの白い紫陽花、アナベルの雪山

徒歩圏内では無いが、同じあきる野市内にサマーランドのあじさい園がある。

足腰に自信があれば、電車やバスを利用して一日に両スポットを巡ることも十分可能だ。

サマーランドのあじさい園の記事はコチラをクリック

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アナベルの雪山を見上げる

東京都内紫陽花名所・穴場ランキング【合わせて読みたい】

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アクセス・駐車場・所要時間など

住所
〒190-0172 東京都あきる野市深沢368

アクセス
JR五日市線 終点「武蔵五日市」下車 徒歩1時間弱(上り)、徒歩約40分(下り)

駐車場
有り

歩行時間
約1時間50分
※行きのみシャトルバス利用。帰りは駅まで歩き、対岸ルートも歩いたが、単純にメインルートを往復するだけなら歩行時間は30、40分ほどだろう。

費用
有料

飲食
弁当を食べるスペースは少ない。また、武蔵五日市駅周辺にも飲食店は少ないので、昼食をどうするかは事前に検討を要する。

たとえば、昼食をどこかで食べてから午後入山するとか、あじさい鑑賞後に、昭島駅や立川駅など商業施設が駅近にある駅で途中下車して昼食にする、など。

地図