2019年5月8日(水)、埼玉県入間郡越生町にある世界無名戦士之墓(せかいむめいせんしのはか)と、五大尊(ごだいそん)つつじ公園に行ってきた。
ツツジの開花状況や見頃がいつかなども含めて、現地の様子をレポートする。
開花状況
訪問した5月8日は残念ながらツツジの見頃は過ぎ、傷みが目立っていた。つつじ祭り期間中に行けば、もう少し良い状態で見られたと思う。(つつじ祭り期間中は入園料がかかる。地元の特産品などが販売されるようだ)
例年の見ごろ
例年の見頃期は4月下旬~5月第一週頃と時期に幅がある。
年によって前後するので、Twitter等で最新情報を入手してからお出かけしたい。
五大尊つつじ公園&世界無名戦士の墓から関東平野をのぞむ
生越(おごせ、と読む)は埼玉県の中央やや下にある。東京駅からだと電車で1時間半もかかり、関東三大梅林の生越梅林以外には周辺に何もなさそうな町だ。
しかし、実は生越駅から徒歩30、40分ほどの世界無名戦士之墓からは関東平野が一望できる。平野って、ホントに平らなのね。
そして、関東平野を眺めた後は、歩いて五大尊つつじ公園にも行ける。春には約10,000株のツツジが咲き誇る。
駅から徒歩1時間以内で大パノラマが見られて、更に花の名所も楽しめる。両方を併せ持つスポットは、東京近郊では珍しいのではなかろうか。
一つ注意点を挙げるとすれば、散歩というよりハイキングと言えるコースだ。ちょっとした山道を歩く場面もある。歩きやすい靴でどうぞ。
五大尊つつじ公園と世界無名戦士の墓の様子をもっと詳しく!
それでは、現地の様子をもっと詳しく見ていこう。
【八高線】旅情たっぷりな電車で行く
最寄りの生越駅には、JR八高線(はちこうせん)か東武生越線のどちらかを利用する。筆者は八高線を利用。ちなみに八王子~高崎を結ぶ路線なので、頭文字を取って八高線なのだ。

なお、生越駅を含む高麗川駅~高崎駅までは電気で動く「電車」ではない。エンジンで動く。おまけに乗車の際にはボタンを押して乗車する。

さらにウキウキすることに、車内はボックス席になっている。

また、ワンマン運転なので、後方からはこのような風景を眺めることができる。

車両のエンジン音をBGMに流れていく景色。電車の雰囲気と相まって、東京から遠く離れた地方のローカル鉄道にでも乗っているかのような気分になる。

生越駅に到着。無人の改札機がまた良い味を出している。駅員がいないためSuicaの残額が不足していたら大変なことになりそうだが。

【生越駅】ハイキングスタート地点
駅前は御覧の通り。


大変失礼ながら寂れた観光地といった趣だが、それはそれで、都心では滅多にお目に掛かれない味わいのある風景ではある。

駅を出てまっすぐ進むと、目を引く横長の看板が。見所や地図が案内されている。生越は「ハイキングのまち」と称し、町を上げて観光に取り組んでいるようだ。

突き当たりのT字路を右に曲がって進む。100mも行かない程でまたT字路にぶつかるので、 左に曲がって山を正面に見ながら進んで行く。

ハイキングのまちと自称するだけあって、要所に案内板や地図、トイレが整備されているのはとても有難いことだ。

すぐに坂が待ち構えている。冒頭、駅から徒歩30、40分足らずで関東平野が一望できると言ったが、それは短時間でかなりの高さを登る、ということも意味している。

【生越子ノ権現】ハイカーの守り神?
登り始めてすぐ、左手に鳥居が現れる。

生越子ノ権現(おごせねのごんげん)という小さな社だ。足腰の病に験がある、ということで、「ハイカーの守り神」という立て札が掲げられていた。

生越子ノ権現のすぐ隣には生越神社がある。木々も大きく、トトロでも出てきそうな雰囲気である。

ひょろりと高い木々の新緑に囲まれながら坂道を登っていく。

息を切らしながら開けたところに辿り着くと、木々の間から関東平野が姿を現す。

このようにベンチもあるので、絶景を見ながら弁当を食べるのも清々しい。ただし、ベンチはこれしかないので、土日祝日の昼時はすぐにハイカーで埋まってしまうだろう。

【世界無名戦士の墓】関東平野を一望
さて、世界無名戦士の墓はどこに?と思っていると、広場の先に長い階段が。まだ登るのか…。そう、繰り返すが、短時間で眺望を得るためには、短時間で高さを稼がねばならないのだ。

再び息を切らしながら階段を上っていく。

屏風のような形と清らかな白色が美しい建物。これが、世界無名戦士之墓だ。第二次世界大戦に散った将兵を敵味方の区別なく供養するため、生越町の医師の発案によって埼玉県の協力も得ながら昭和30年(1955年)に建てられた。

なお、無名戦士という名前には、「名も無き兵士」という意味ではなく、階級の差別なく無名平等にお祀りする、という意味合いが込められているという。

この慰霊塔の屋上には登ることができ、頂上からは関東平野が180度の大パノラマで眺めることができる。

こんな絶景だが、実は標高としては200mに満たない。

眼前が平野であること、高い建物が無いことが重なり、200mでもこの眺め。243mの東京都庁や、599mの高尾山でもこのような眺望はのぞめない。



世界無名戦士の墓をお参りした後は、五大尊つつじ公園へ向かう。世界無名戦士の墓の階段に道標があるので、迷うことはないだろう。

整然とした杉林に土の道。

一気に高度を下げていく。距離は長くはないものの、ちょっとしたハイキングコースの様相を呈する。

お墓を出発して10分たらずで五大尊つつじ公園(五大尊花木公園)に到着。

【五大尊つつじ公園】野趣あふれるツツジの名所
つつじ祭りは2日前の5月6日までだったらしく、祭りが終わったこの日は、入園料はかからなかった。しかし、ツツジの見頃は全体的には過ぎていた。

東京都青梅市にあるツツジの名所、塩船観音寺のように、丘に沿ってツツジが植えられているが、整然と並ぶ塩船観音のツツジと比べると、こちらは野性味あふれるツツジだ。

道は舗装されておらず、相変わらずハイキングコースのようだ。

また、ツツジは丸形に刈り込まれることなく、伸び伸びと育っている。そのため、人の背丈以上に大きいツツジも沢山ある。

ツツジ園は山の傾斜に沿って広がるため、起伏が激しい。 さらに未舗装なので、滑りにくい靴で来ないと危険だと思われる。

上に来ると街を見下ろすこともできる。

斜面に植えられたツツジ。

こちらが五大尊本堂。五大尊とは五大明王の尊称で、本堂には五大明王像が祀られている。ツツジは1700年代に寺僧が植えたのが始まりだというが、そのお寺自体は明治期に廃寺となっており、五大尊のお堂は地域の人々によって大切に守られてきたそうだ。

世界無名戦士之墓、五大尊花木公園のつつじと立て続けにハイキングコースを歩いてきたので、少々足が疲れてきた。ということで、帰りは平坦な道を選ぶ。

五大尊を後にし、八高線の線路のほうへ向かって歩いて行くと、やがて川にぶつかる。越辺川で「おっぺがわ」と読む。近隣の方でなければ到底読めそうにないユニークな名前だ。

雨が少ないからか水量は少ないが、透明で綺麗な川だ。生越駅方面に向かって、川沿いを歩いて行く。

中央橋まで来ると、八高線の鉄橋も見える。ここまで来れば生越駅はすぐ近くだ。

素晴らしい景観を楽しめた生越観光。ただ、この時期、徒歩圏内で周辺に他の名所があるわけではない。
また、ツツジだけの景観で言えば、17,000本のツツジが咲き誇る東京都青梅市の塩船観音のほうが、感動の度合いが大きかった。
\ 詳しくはコチラ /
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しかし、ツツジと大パノラマを両方見られるスポットはここならでは。「ハイキングのまち生越」は、その名に恥じなかった。
アクセス・所要時間など
●アクセス
世界無名戦士之墓
JR八高線・東武生越線「生越」下車 徒歩約40分
五大尊つつじ公園
世界無名戦士之墓より徒歩約10分
※山道を歩くのでハイキングシューズが良い。
●歩行時間(施設見学時間含む)
約2時間20分
●費用
無料(五大尊花木公園つつじ祭り期間中は有料)
●飲食
生越駅周辺は飲食店が少ない。つつじ公園内で弁当を食べるのが良いだろう。ベンチは少ないためレジャーシートがあると便利。