2020年8月、東京都奥多摩町にある日原鍾乳洞(読み方:にっぱらしょうにゅうどう)を観光してきた。
電車でのアクセス方法や現地の雰囲気を、動画やたっぷりの写真とともにレポートする。
日原鍾乳洞観光|大自然の迷宮は真夏でも涼しい【概要】
さっそくだが、感想をまとめると…
- 真夏日でも涼しいを通り越して寒い
- 都心から電車・バスで来ると異様に遠い
- 東京離れした自然景観は一見の価値アリ
狭い入口からは想像もできないような、深く、入り組んだ洞窟を登ったり下りたり。
さながらアドベンチャーのようで、都内でこれを体験できる場所というのは稀有。
真夏の都内避暑の大本命の一つと言っていいだろう。
現地の雰囲気はこちらの動画をどうぞ。
電車・バスでのアクセス方法について
これが最大のネック。東京駅から電車とバスを乗り継いで3時間以上かかる。
3時間て…。東京駅から新幹線に乗れば、大阪、京都をすっ飛ばして岡山入りできちゃう時間ですからね、都内と言えど、正直遠い。
中央線・青梅線をのりついで終点奥多摩駅へ
時間は掛かるがルートとしてはシンプルだ。中央線と青梅線でひたすら西へ進み終点の奥多摩駅まで行き、駅の目の前から出ているバスに乗ればOK。
まず、奥多摩駅までが非常に遠い。青梅を超えた青梅線の車窓から。どう見ても東京には見えない件。どこの秘境だ。
奥多摩駅前から京王バスに乗る【注意事項あり】
奥多摩駅には改札が一つしかない。で、その改札を出ると、秒で鍾乳洞に行くバス停を発見。バス停の場所はまず迷わない。
ただし、大きな問題がある。
- 便数が少ない
- 鍾乳洞近くまで行くのは平日のみ
えっと…ホントに観光地なんすよね…?クルマで来いと言わんばかりの鬼ダイヤでして、バスは2時間に一本ほどしか来ない。
おまけに、土日祝日は途中の東日原バス停で降ろされる。
東日原バス停からだと片道2km、30分弱の道のり。とくに真夏日だと避暑しに来たのにクソ暑いなか道路を30分歩かされるという、何しに来たのかよく分からない状況に…。
公共交通機関を使って来るなら、平日一択と言ってよいだろう。
なお、鍾乳洞バス停からも10分弱は道路を歩くことになる。
他にもお客さんがいるし、ほぼ一本道なので、道に迷う心配はないだろう。
駐車場について
鍾乳洞の手前と奥に2か所、駐車場がある。やはりクルマで来いということか。
…と思いきや、夏の土日、GW、盆休みなど繁忙期になると駐車場待ちが1~3時間となることも…。ネズミ王国か!
また、駐車場が満車のときは臨時駐車場を使うケースがあるようだが、そこからだと鍾乳洞まで結局2km歩く羽目になる。
ということで、電車にせよクルマにせよ、世間一般がお休みの時の訪問はオススメできない。何とか有給を取ってでも平日に来るのがベストだろう。
服装・靴・持ち物について
- 上着
- 滑りにくいスニーカー
- 帽子
年間を通して11℃の洞内を一通り回って40分間。Tシャツ1枚で突入しようものなら、猛暑日でも体の芯から冷える。猛暑日であっても、1枚、上から羽織れるものを持って行ったほうがいい。
また、靴は普通のスニーカーで良いと思うが、滑りにくいものがいい。晴れの日であっても洞内は水がしたたり、床が濡れている。また、かなり急な階段を登る場面もあるため、滑りやすい靴は危険。
バス利用の場合、帰りのバスに座れるように早めにバス停に並びたいところだが、鍾乳洞最寄りのバス停には木陰や日よけは無い。このため、真夏日は帽子が無いとキツイ。
なお、雨の日やその翌日は、洞内で水の流れが増えたり、水たまりが増えるそうだ。なので雨合羽、長靴装備が望ましいようだが、そもそもそのような日は避けたほうがいいだろう。
ランチについて
バス停~鍾乳洞間に食堂が一軒あるのみ。
駐車場にたこ焼きなどの出店が見られたが、いつもあるかどうかは不明。
また、弁当を持参しても落ち着いて食べられるような場所はほぼ無い。チケット売り場の上にテーブルがあるが、混雑時には埋まってしまっているリスクもある。
食堂が満席の場合は、ランチの店探しは奥多摩駅前まで出るのが無難だろう。
混雑状況について
訪問日は平日だったが真夏日で鍾乳洞日和(?)。バスは満員。全員は座れず、増便していた。まぁ、そもそもバス便が少ないですからね…そら集中するわ。
洞内についても、自分以外に誰もいない…という場面はほとんど無く、通路が狭い場所だとやや人の流れが詰まって渋滞気味に。ただ、不快になるような混雑とまではいかない。余裕で許容範囲内。
しかし平日でこれでは、土日祝日はどうなんだろう…ただ、土日祝日はバスが鍾乳洞近くまで行かないため、公共交通機関で行こうという人はそこまで激増しないのでは。
また、上述のとおり土日祝日は駐車場が混雑するため、マイカー組もいっぺんに大挙して洞内には入れないはず。
そう考えると、土日祝日だからといって、洞内まで大混雑、とはならなそうな気がするが、どうだろう。Twitterをウォッチする限りでは、洞内が人であふれかえるような写真は見つからなかった。
子供でも行けるか?
自然の洞窟なので、当たり前ながらバリアフリーとは程遠く、階段バリバリの洞内。しかし、メインルートについてはそこまで激しい起伏は無く、年中さん以上なら問題ないだろう。
ただ、狭い通路も多い。なので、歩くのが遅い小さな幼児連れだと、親がヤキモキする可能性が高い。
なお、メインルートから外れ、新道と呼ばれるルートについては、高低差30mほどの急な階段を上り下りすることになる。ウッカリ足を滑らせたら大怪我しそうだし、高尾山とかでもサクサク登れるような子じゃないと厳しいだろう。(怖ければこの新道ルートは行かなければ良い)
割引券
超絶目立たないのだが、公式HPに割引クーポンがサラッと掲載してある。忘れずにプリントアウトしていこう。
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日原鍾乳洞観光の様子をもっと詳しく!【詳細】
それでは、現地の様子をもっと詳しく見ていこう。
日原鍾乳洞とは
東京都指定の天然記念物。その総延長は1270m、高低差134mで、関東地方では最大級の規模の鍾乳洞だ。かつては山岳信仰のメッカだった。
ちなみに一般に公開されているのはその一部。高低差134mを上り下りするわけではないので、そこはご安心を。
入口前の様子
まずは橋の手前にあるチケット売り場で入場券を購入する。
渓流にかかる橋をわたって入口を目指す。音を立てて流れる水が気持ちいい。
入口は、内部の広がりと比べると、だいぶ小ぢんまりとしている。
地図をチェック
内部に入って少し歩くと、洞内の地図がある。このとおり、内部はけっこう入り組んでいる。
日原鍾乳洞内の見どころ
さっそく内部を探検してみよう。
奇岩の数々【形もいろいろ】
上の地図にあるとおり、洞内は奇岩がたくさんある。
ただ、つららが無数に垂れ下がる「いわゆる鍾乳洞」みたいな岩は想像よりは少ないように感じ、全体的なビジュアルは「ふつうの洞窟」といった印象。余談だが、つららが3㎝伸びるのに200年かかるという。
奇岩にはサラッと名札が付いているくらいで、こってりと地学的な解説がされているわけではない。
まぁ、あまり解説を充実させて、人の渋滞を引き起こしてもよろしくないか。
「天井知れず」と呼ばれる一角。天井に深々と空いた穴。不気味だ。
「三途の川」と呼ばれる場所に流れる水。
耳を澄ませば…【水琴窟】
こちらは水琴窟(すいきんくつ)。この水をたたえた瓶に水滴が落ちると、キレイな音を奏でるそうなのですが…スミマセン、よく分かりませんでした。
そのそばには弘法大師学問所が。こんな洞窟の奥で修業って…さすがお大師様、現代でいうところのテレワークを先取りしていたとは…(違う)
ライトアップされた巨大地下空間【死出の山】
メインルートの最奥部にある「死出の山」、この一帯がビジュアル的には最大の見どころと言える。
どうでもいいが各スポットの名称がおどろおどろしいな…三途の川だの死出の山だの地獄谷だの…。
天井がとても高く、地底人でも住んでいそうな巨大な空間が広がる。
目まぐるしく色が変化するライトアップは地底人によるオーパーツか?キバヤシッ(違います)
たぶんそのうちチームラボあたりとコラボるんじゃないでしょうか。
死出の山を登った先にあるものは…
「さいの河原」とある。…またも怖い感じのスポットですが、その横には、
「縁結び観音」…?!
ここまで散々、地獄に関する名称が続いていたのに、突然、縁結びとはこれいかに…。「俺たち…地獄に落ちても一緒だぜ…」ドッキドキ、不倫カップルにぴったりなデートスポット1選♪みたいなインターネッツの記事で紹介されそうですね。(投げやり解説)
高低差30mのアドベンチャー【新洞】
メインルートからわき道にそれる「新洞」。昭和37年に発見された新しいルートだ。
新洞は、起伏が比較的すくないメインルートと異なり、高低差30m。これを登り下りするので結構ハードだ。
最初から容赦のない、濡れた急階段。写真では伝わりにくいが、初見だと「え…これ登るのwww」というリアクションになる。
階段の途中から振り返る。これ、足を滑らせたら本物の地獄に逝けるやつですね、分かります。
なんだ、世紀の断層って。自分で「世紀」とは…世界のナベアツのような厚かましさだな。(節子それ、たぶんその世紀やない)
奇岩を横目に階段はつづく。
洞窟に組まれた金属製の階段…バイオハザード的な眺め。
いや~登りますなぁ。運動不足の方にはキツイと思われる。
階段をのぼりきると、鉄でできた橋の上をわたる。
横を見やると…おっ、これぞ「鍾乳洞っぽい」景観!
さぁ、ここまで散々登ってきたということは、分かりますね?
そう、そのぶん「降りる」必要があるわけでして。
降りるのもまぁまぁ怖い。閉所恐怖症の人には本当に地獄でしょうな…そもそも来ないと思うけど。
メインルートに合流し、ようやく脱出。
周辺観光について
鍾乳洞から徒歩圏内には何があるのだろうか。歩いてみた。
巨大な奇岩【梵天岩・つばめ岩・籠岩】
鍾乳洞入口を過ぎて、道路をバス停とは反対方向に進むと、すぐにトンネルがある。
トンネルの上にそびえる岸壁「燕岩」。それにしてもデカい。まさに岩の壁と書いて岩壁。
トンネルを抜けると…
駐車場なのだが、そこから見える梵天岩や籠岩もまた味わいがある。山梨の昇仙峡のミニバージョンといった趣だ。
これらの岩は100mほどの高さがある。えー、ここ東京です。念のため…。
巨岩を背景に鎮座するちいさな社【一石山神社】
道路と川をはさんで、鍾乳洞の向かいに位置する小さな神社。
写真だと分かりにくいが、社の後ろには前述の巨大な岩壁がそそり立つ。
御祭神は天照大神で、かつては山岳信仰のメッカだった日原鍾乳洞の拝殿だったという。
神社の前には「神明水」という湧水がある。
寄り道スポット
都民であっても特に都心以東の方は、こんな遠くまで来て直行直帰は勿体ない…と感じるだろう。
電車・バス利用ならば、帰りに立川駅に寄ってお茶休憩するのも手。久々に訪れると、その再開発ぶりに驚くと思う。
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住所・所要時間など
住所
〒198-0211 東京都西多摩郡奥多摩町日原1052
所要時間
新洞ふくめ、一通り見て40分ほど
費用
有料
地図