2021年2月12日(金)、東京都大田区にある池上梅林に梅を見に行ってきた。
開花状況や例年の見頃、現地の雰囲気を、動画やたっぷりの写真とともにレポートする。
池上梅園は23区の花見山?開花状況と見頃期も解説【概要】
ご覧のとおり、斜面にビッシリと植えられた梅。まさに花見山状態だ。その数は350本を超え、23区部の梅名所としては本数の多い部類。
斜面に沿って散策コースが整備されており、上から街を一望することもできる。
見所は梅だけではない。茶室などレトロ建築物が3棟ある。
風情ある建物と梅が一緒に楽しめる場所は、多摩地区だと府中市郷土の森が思い起こされる。
郷土の森には規模の面では遠く及ばない。しかし、23区在住の方で、「郷土の森はちょっと遠いなぁ」という方にはピッタリな梅の名所と言えよう。
なお、池上梅園に限らず、この界隈は「南北崖線」という地形上にある。まぁ、平たく言えば崖が続いて起伏=坂が多い。
例えば、JR大森駅を目指して歩くと、起伏を体感できるはず。なので、坂道フェチの方は周辺も合わせて散歩するといい。
現地の雰囲気はこちらの動画をどうぞ。
開花状況
訪れた当日の開花状況は4分咲きだった。まだまだ蕾のモノも多かったが、じゅうぶん見ごたえはあった。
最新の開花状況は公式HPで案内しているほか、訪れる人が多いのでTwitter等で情報収集すると良い。
例年の見頃期
梅が咲いている時期で言えば2月初旬~3月初旬頃だが、見頃のピークとしては例年2月下旬頃だ。
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池上梅園の様子をもっと詳しく【詳細】
それでは、現地の様子をもっと詳しく見ていこう。
池上梅園とは
池上本門寺の西、丘を巧みにつかって整備された梅園。本門寺とは関係の無い、大田区立の施設だ。
もともとは梅園ではなく、戦前は日本画家・伊東深水氏の自宅兼アトリエだった。
その後、戦後に築地の料亭経営者の別荘、東京都の庭園という変遷をたどり、昭和53年より大田区の庭園となった。梅は大田区の「区の花」なので、たくさんの梅が植林されたのは大田区管轄となった後のことだ。
なお、「梅園」と名は付くが、四季の花々が咲き、とくに初夏のツツジも綺麗なようだ。つつじの季節に訪問したら別途レポートする。
梅の様子【コロナ禍で2021ライトアップは中止】
梅園のマップはコチラのとおり。そこまで広くはない。また、周囲の多くは、通りや住宅に囲まれ、そこまで自然豊かという感じではない。
梅が集中して植えられている部分は丘になっていて、園内の北半分ほどを占める。
残りの南半分は起伏は少なく、茶室や池など庭園風景が広がる。
では、受付で入園料を払い、丘の梅から見ていこう。
梅の丘
真っ先に目に入ってくるのが、この梅の丘だ。
急な斜面にビッシリと植えられた梅は、なかなかの見ごたえ。
丘の前には通路が設けられ、眼前に迫る梅を迫力ある角度で見上げることができる。
丘の麓にも少しだけ散策路が整備されている。
特筆すべきは、丘の上にも散策路が整備されている、という事だろう。
階段はけっこう急です。
上にはこんな展望台も設けられていて…
23区にありながら、花見山といった風情。
目の前には線路が見えるが、電車はほとんど通らない。それもそのはず、都営浅草線の車両基地への引き込み線で、乗客をのせた電車が走る線路ではなかった。
線路のはるか向こう、遠くに目を移すと、ひときわ目立つビル群。武蔵小杉のタワマンたちでしょうか。
展望台のちかくに東屋もあった。
庭園の梅
丘以外にも園内には梅が見られるが、あくまで主役は丘の梅ではある。
茶室の奥にひっそりと佇む座論梅(ざろんばい)。珍しい品種らしくパンフレットでも「おすすめの梅」と掲載されている。
花や実のつき方に特徴があるようなのだが、ぶっちゃけ違いが分からない。違いが分からない男・東京チカーバ編集長…と、肩を落としていたら、隣の老夫婦が「せっかく奥まで来てこれしか無い」と仰っていたので、違いが分からないのは私だけじゃなさそうで安心。
引きつづき庭園の梅を探そう。茶室や和室など、3棟の和風建築があるが、梅と絡めて良さげなアングルはあまりない。そもそも、建物の周りにあまり梅が無い。
やはり、池上梅園の梅と言えば、「斜面の梅」が主役なのだ。
梅以外の見どころ
園内に、梅のほかに何があるか見ていこう。
庭を彩るオブジェたち
添景物など庭園らしい風景が点在する。
大きめの石塔。
小さいながら枯山水も。
水琴窟(すいきんくつ)
水琴窟とは、手を水で清めたとき、滴り落ちた水が地中に埋められた瓶に当たって反響し、琴の音のように聴こえる仕掛け。
こちらの水琴窟は、近くの民家で発見された昭和10年代のものだという。
ひしゃくで水をすくい、丸い石ころのあたり目がけて水を落とすと、何とも言えない綺麗な音がこだました。
薬医門
雰囲気のよい門がある。とくに何の説明書きもないので、文化財とかではないのだろうか。通り抜けはできない。
茶室
園内には二つの茶室がある。
●聴雨庵(ちょううあん)
もとは政治家藤山愛一郎氏の所有だったが、大田区に寄贈された。
雪吊りとのツーショット。
●清月庵(せいげつあん)
もとは数寄屋建築設計家の自宅の離れだった。一時はマンション建設の波に飲まれそうになるも、保存運動によって守られ、いまは大田区管理の茶室となっている。
和室と池
落ち着いた雰囲気の和室と池。
前述のふたつの茶室とコチラの和室は、事前に申し込んで茶会・句会などを行う方のみ入れる。ということで、外から眺めるのみ。
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周辺スポット
下記スポットにも合わせて行ってみては。
池上本門寺
歩いてすぐ。23区の中ではかなり広い境内を持つお寺。五重塔などいくつものお堂が立ち並ぶ。
聖蹟蒲田梅屋敷公園
とても小さな梅園。すぐ上に京浜急行の高架がかかり、真横には国道15号が走る。ある意味で日本一賑やかな梅園。池上梅園からは離れていて、歩いて行くのは健脚向け。
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戸越銀座
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九品仏浄真寺
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東京23区唯一の渓谷。秋の紅葉シーズンをのぞくと、そこまで目を見張る景観ではないかもしれない。が、渓谷沿いにある「等々力不動尊」は崖に築かれた寺院で迫力がある。
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アクセス・所要時間など
住所
〒146-0082 東京都大田区池上2丁目2−2番13号
アクセス
●東急池上線「池上」下車 徒歩15分
●浅草線「西馬込」下車 徒歩10分
滞在時間
約40分
※花の鑑賞時間含む。
費用
有料
飲食
外食の選択肢は多くない印象なので、事前に下調べしておくか、違う場所で食べることも視野に。
池上梅園の前に小さな広場があり、ベンチがある。が、数が少ない上に観梅シーズンは混雑するので、弁当持参もオススメはできない。
地図