2020年12月7日、埼玉県新座市にある平林寺に紅葉狩りに行ってきた。
都内の紅葉名所とは次元が違う規模のモミジ林が広がっていた。
見頃時期のピークや紅葉状況、現地の雰囲気を、動画やたっぷりの写真とともにレポートする。
平林寺の紅葉がもはや山火事?【概要】
「仏教建築物と紅葉」の組合せが美しいスポットは、実は都内でも見られる。九品仏や豪徳寺などが代表的だろう。
ここ平林寺においても、そうした景観を拝むことができる。
ただ、平林寺の紅葉の真骨頂は、境内奥に広がる雑木林にある。
平林寺の境内は、約40ヘクタールという、ディズニーシーとほぼ同等の敷地面積をほこる。そして、その多くは雑木林が占める。
天然記念物に指定されているこの林は、クヌギやコナラなど落葉広葉樹の割合が多いが、実は紅葉もかなり多い。
モミジの本数は公式に発表されていないので不明だ。しかし、境内を歩いていると、都内の紅葉名所とは比較にならない規模だとすぐに分かる。
とにかく、どこに行っても紅葉、紅葉、紅葉。「山火事か!」と突っ込むレベルで林のいたるところで紅葉が燃える。Yahoo!の紅葉ランキングで1位を記録した事があるのも頷ける。
今度の紅葉シーズンには、ちょっとした小旅行気分を味わいに、平林寺までお出かけしてみては。
駅からは少々遠いが、都心からだと高尾山に行くくらいの時間感覚でアクセス可能だ。
現地の雰囲気はこちらの動画もどうぞ。
紅葉状況と例年の見頃ピーク時期
2020年12月7日、訪れた当日の紅葉状況は見頃のピークはやや過ぎた感じはあった。とくに入口の山門付近はけっこう枯れていた。
全体的に下り6、7分くらい。あと4、5日ほど早く来ていれば…。ただ、まだまだ十分たのしめるレベル。
例年の見頃は11月下旬~12月上旬頃だ。その中でも見頃ピークは11月23日~12月5日くらいの間。
年によって変動するので、11月中旬以降、TwitterやYahoo!リアルタイム検索で最新情報をチェックしてからお出かけしよう。
ちなみに、見頃ピークは境内の場所によって異なる。入口周辺は早く、雑木林の奥は遅れて紅葉する。
なので、入口付近に立ち並ぶ諸堂と紅葉の組合せを楽しむなら早めに、逆に、境内奥の雑木林の紅葉を見るなら遅めにお出かけプランを立てよう。
混雑状況
2020.12.7(平日)の場合
コロナ禍の平日の訪問だったので、そこまで混雑していなかった。
2017.11.26(日曜日)の場合
コロナ以前の土日祝日ともなると、ご覧のとおりの混雑。ちなみに、このころは平日でもそれなりに混んでいた。
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平林寺の紅葉の様子をもっと詳しく【詳細】
それでは、現地の様子をもっと詳しく見ていこう。
最寄りの新座駅から歩く
せっかくなので、駅から平林寺まで歩いてみることにした。
南口の駅前のロータリーを渡ったところにある「ふる里小道」を歩いていく。
駅から平林寺までは徒歩40、50分ほどかかるが、要所に道案内があるので、迷うことはないだろう。
「ゲッ、そんなに歩くの?」と思うかもしれないが、途中から野火止用水沿いを歩く。無味乾燥な住宅街を延々と歩くわけではなく、道中もそれなりに楽しみながらお散歩可能だ。
野火止用水(のびどめようすい)は、承応4年(1655)に開削された用水路だ。埼玉県指定文化財。
玉川上水の開削でも指揮をとった川越藩主・松平伊豆守信綱(まつだいらいずのかみのぶつな)によってつくられた。
玉川上水から分水された水は、野火止用水を通って野火止台地の開拓に利用された。
畑を横目に歩く。
平林寺境内林を横切っていく。お寺の入口の正反対に位置するので、ひたすら大回りして歩く。
野火止用水と紅葉。
お寺の周囲をぐるっと歩いて…
ようやく総門に到着。ここで拝観受付を済ませる。
入口周辺の紅葉
境内はかなり広大で、普通に歩いて1時間前後、写真を撮りながらゆっくり回ると2、3時間かかる。
境内案内図を見ると、一見、複雑そうな順路だ。が、実際は立入禁止区域などもあるため、わりとシンプルなコースとなる。見どころの見落としをあまり心配する必要もないと思う。
境内へ入り山門をのぞむ。順光だとだいぶくすんで見えるなぁ。
山門まで進む。築350年で平林寺のシンボル的存在。埼玉県指定有形文化財。
振り返って総門方面を見る。逆光だとまだまだ綺麗。
ムダにウロウロして良い構図を探しちゃいます。
仏殿と紅葉。
放生池(ほうじょういけ)と紅葉。
放生池は、かつては野火止用水の水が流れ込んでいたという。
悠然と泳ぐコイが風流です。
半僧坊感応殿(はんそうぼうかんのうでん)と紅葉。色々な絵の具が絡み合うような、色彩ゆたかな紅葉もハッとする。
半僧門と紅葉。2017年の落慶とのことで、ピカピカです。
参考までに、2017年11月26日の山門周辺の様子も以下に載せておく。このときは見頃真っ盛りだった。やはり、奥の林より見頃になるのが早い。
境内林周辺の紅葉
続いて、諸堂のある場所から、林のある奥へと進んでみよう。
平和観音と紅葉。
「平林寺堀」と書かれた橋をわたる。野火止用水は、平林寺境内にも引かれていたのだ。
用水の流れは確認できない。
さらに奥に進むと、散策コース沿いに「大河内松平家廟所」がある。野火止用水をつくった松平伊豆守信綱を祖とする一族の墓所だ。
3000坪の墓域に170基あまりの墓石が整然と並ぶ。
墓石の多さに圧倒される。市民霊園のような広さですが…これで一族のお墓って…。
全国でも屈指のスケールという。
墓所の周囲にも紅葉が。
墓域を通り抜けて、さらに林の奥へと進んでいく。
ところどころに椅子がある。境内は広いので、ありがたいお心遣いだ。
野火止塚(のびとめつか)の周りはだいぶ枯れてしまっていた。雑木林の中でも紅葉の進み具合に差がある。
塚の用途や由来はハッキリとしていないという。やっぱり逆光で見るといくらかキレイに見られますな。
紅葉に彩られた林の中を歩く。
モデルコースから少し外れて、立ち入り可能な最奥部を目指す。
業平塚(なりひらづか)と紅葉。
雑木林のうち、立ち入れる最深部にちかい歴代塔所(れきだいたっしょ)。平林寺歴代ご住職の墓所だ。
このあたりは広い境内の奥とあって、人もやや少なくなる。
澄み切った青空に映える赤、オレンジ、黄緑色…無垢な子供の絵のごとくカラフル。
モデルコースに戻り、林を一周し終える頃、クライマックスな景観が待っていた。
これだけ敷地が広いのに、どこに行っても紅葉がたくさん見られる。都内の紅葉スポットにはない規模感だ。
都内から比較的アクセスが良く、それでいてたくさんの紅葉に触れられる。何度もお参りしたくなる紅葉名所だ。
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アクセス・駐車場・所要時間など
住所
〒352-0011 埼玉県新座野火止3-1-1
アクセス
公共交通機関はバス利用が前提となっている。詳しくは公式HPご参照。
ハイシーズンでバスが混雑している場合、体力に自信があれば新座駅から歩いてしまうのも手だ。
駐車場
専用駐車場はないが、周辺にいくつか駐車場がある。
- ひるねの森駐車場(徒歩すぐ)
- 新座市役所駐車場(徒歩7分)
- 新座市中央図書館駐車場(徒歩12分)
- 新座市民総合体育館駐車場(徒歩14分)
食事処「ひるねの森 竹映」の駐車場はお寺の目の前にあるため、ハイシーズンだと満車になることも。
境内滞在時間
2時間
単純に一周歩くだけなら1時間前後だろう。
写真を撮りながらゆっくり歩くと、2、3時間かかる。
費用
有料
グルメ・ランチ
お寺の目の前の「ひるねの森 竹映」をはじめ、周辺に食事処は点在しているが、どこも非チェーン系と思われる。事前の営業確認は必須。
新座駅前まで出れば、チェーン系の飲食店がいくつか見られる。
地図
※実際歩いたコースと若干異なる。